ロボカップグランドチャレンジとムーンショット・パート2 ムーンショットに必要なのはロボカップの成功要因の腑分けでは?

書き殴りエッセイのような文章になります。「ロボカップグランドチャレンジとムーンショット・パート1 ロボカップグランドチャレンジはアポロ計画と相似か?」というまだ1文字も書けていないエッセイの、位置づけとしては続編です。

先日、調べ物をしていたところ「Moonshot Projectの本質は何か?」というタイトルの、北野宏明先生による資料を見つけました。

論旨としては、研究のタイプをいくつかに分け(すなわち、ここで述べるような設定から外れるようなタイプの研究も重要としたうえで)、「ムーンショット」型として、アポロ計画と、ご自身で発案され、ロボット研究をこんにちの活況に導いた「ロボカップグランドチャレンジ」を例に、目標設定が最も重要というように説かれている、というように見えます。

本稿では、「2050年までに(人間のサッカーのルールで)ワールドカップ優勝チームに勝つようなロボットのチームを作る」という「ロボカップグランドチャレンジ」自体については深くは触れません。それはどちらかというとパート1で検討したいと考えている内容です*1

2020年現在のロボット研究の活況は、ボストンダイナミクスのRaibertさんの研究は遡れば1980年前後まで遡りますし、本邦でもホンダのP2が学界に与えた衝撃なども大きかったわけですが、1990年代以降の、北野先生らによる一連の「ロボカップ」の活動の影響もまた確かなものだろう、とは思います。

しかしその一方で、現状で「ムーンショット」として多数提案されているような「目標設定」が、これまでロボカップが広げてきたような発展に資するのか、どうもいまいち不安を感じる提案を見聞きするように思います。そもそも「ロボカップグランドチャレンジ」は、そろそろ折り返し点とはいえ未完なのですから、必要なのは、現時点までの「ロボカップ」の成功要因を腑分けし、そのエッセンスを、今後の研究施政に反映させることなのではないでしょうか。

*1:北野先生らによる、人工知能研究の日本発の目標設定であった「グランドチャレンジ」については、それについて話し合われたシンポジウムの後に共立から『グランドチャレンジ―人工知能の大いなる挑戦―』 www.kyoritsu-pub.co.jp として公刊されておりその内容も大変興味深いのですが、「ロボカップグランドチャレンジ」自体は、その後で改めて発案されたものであるため同書には収録が無く、調査にはいくつかの資料を追う必要があります。