ベルの法則について

『2030年の第4次産業革命』という本の p. 107 に、「ベルの法則」とは、約10年あまりごとに、時代を代表するコンピュータープラットフォームの大きさが、数百分の一になっていくという経験的な法則、と書かれているのですが、どこかにさらなる出典があるのでしょうか。

英語版Wikipediaにある Definition: の記述が若干それっぽいですが(2021年8月上旬時点で https://en.wikipedia.org/wiki/Bell%27s_law_of_computer_classes )、

Roughly every decade a new, lower priced computer class forms based on a new programming platform, network, and interface resulting in new usage and the establishment of a new industry.

おおざっぱに10年毎により廉価で新しいスタイルのコンピュータのクラスが形成される、としか言っておらず「時代を代表する」とも「数百分の一」とも言っていません。

なお、そもそもこのWikipedia英語版が、Definition: としてその部分を抽出していることすら怪しく(一次資料のみから書かれている、というテンプレが付いていますが、それに加えて独自研究の気配があります)、主要な参考文献であるCACMの記事 Bell's law for the birth and death of computer classes から該当しそうな部分を見つけてみると(PDFリンク http://gordonbell.azurewebsites.net/cacm%20bell's%20law%20vol%2051.%202008-january.pdf PDF)、次のように、

いくつも挙げられている法則性のうちのひとつでしかなく、またその新しいコンピュータのクラスについても "minimal" とあります。これは、マイクロコンピュータが誕生したその時点では、その当時のミニコンピュータを直接に置き換えるものではなかった、というような正確な歴史とも一致しています。

(追記) 改めて探してみたところ https://community.exawizards.com/aishinbun/20180427/ に「10年でコンピューティングコストは100分の1になる」という、ムーアの法則を拡大解釈したもの、だと書かれていました。執筆順を考えるとこれが出典かもしれません。またこちらのほうの元の記述は英語でこちら https://mindmatters.ai/2019/06/george-gilder-cloud-computing-is-reaching-its-limits/ のようです。