「ろくろを回す」のは間違いとして、では「ろくろをひく」というのはどうなのか?

いろいろ長文を書いていたのですが、書くために検索しまくっているうちにかなりあっさり結論らしきものが見えましたので、簡単にまとめます。
「ろくろ挽き」の「挽き」という語は、「鋸で丸太を挽く」「コーヒー豆を挽く」「挽き肉」など、木材などを刃物などで切削・粉砕して切断・加工(あるいは粉砕すること自体を目的と)する、という意味で、陶芸ではなく木製の椀などの加工、すなわち、ろくろを使用して木材などを挽くこと、と見るのが第一義でしょう。
しかし、Google Booksにある『陶器用語辭典』の185ページ( http://books.google.co.jp/books?id=xfnZ0fD8yIMC&pg=PT191 )に、「挽ク 轆轤上で、素地を成形すること。即ち水挽などの類。」とありました。すなわち、(おそらく木工の用語から転じて)ろくろを使っての作業に陶芸でも「挽く」という用語を使うようになったものと思われます。
少なくともこの定義からは、「挽く」対象は陶器の元である粘土のかたまりであって、ろくろではないことは明確ですから、「ろくろ」は「ひく」ものでもありません、というのが結論になります。なお、この用語辞典は1947年初出ですが、精選版日本国語大辞典(Casio XD-GW6900に収録の版)の「ろくろ」の項では、陶芸用のそれを指している語義のところに日葡辞書の「ロクロニ カケテ ヒク」という用例が載っていますから(日葡辞書は確認していないので、誤認の可能性もありますが)江戸以前まで遡れるものということになります。