陽はまた上るか?

サン共同創設者S・マクニーリ氏、従業員向けメッセージで別れを告げる
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20407459,00.htm
この本

サン・マイクロシステムズ―UNIXワークステーションを創った男たち

サン・マイクロシステムズ―UNIXワークステーションを創った男たち

からもう 20 年近くがたったわけで、そこからこっちのほうが経過時間が長いわけだが、ついにその時がきてしまったのか、というか。これからどうするんだろ
スコット・マクネリ会長というと、この話を思い出すプログラマは多いんじゃないだろうか
エキスパートCプログラミング―知られざるCの深層 (Ascii books)

エキスパートCプログラミング―知られざるCの深層 (Ascii books)

これの 191 ページのコラム「会長と印刷ツール――メモリリークの実例」だ。ちょっと引用してみよう

 メモリリークを起こす思いっ切り簡単なコードは、こんなものだ。

for (i=0; i<10; i++)
    p = malloc(1024);

 これはソフトウェアの Exxon Valdez ( wikipedia:エクソンバルディーズ号原油流出事故 ) だ:手に入れたものすべてをリークしている。
(中略)
 Sun の印刷ツールで、面白い現象が起こった。OS の内部テストリリースバージョンを、会長の Scott McNealy のデスクトップシステムにインストールしたときのことだ。(原脚注:これは、実にいいアイディアだ。会長自ら初期のソフトウェアを使い、内部テストにも参加することは、社員の集中力を維持させる。経営のトップが、新しい製品の優れた点や性能向上を把握することも確実になる。しかも、最後まで残っていたバグを振り払うための、やる気とリソース(テストユーザー)も提供してくれる) 2 日も経たないうちに、ワークステーションがどんどん遅くなっていくことに彼は気づいた。リブートすれば、症状はすぐに解消する。彼はバグを報告したが、それが会長自身からのレポートだからといって優先的に処理させるような真似はしなかった。
 (中略)printtool は OS の開発者よりは会長のような役職者向けのツールであり、そのためにバグが残ったままになっていたのだ。(中略)ps -lu scott で確認しても、printtool はリークのきっかけになるだけで、それ自身のサイズは増加していなかった。printtool が使用するシステムコールを調べる番だ。
(以下略、というかバグ取り話として面白いのはここからなんだけど)

Sun という会社がどういう会社なのか、を、これほど見事に示す例はないだろう。会長自ら「ドッグフードを喰らう」(というのは Microsoft の表現だが)のに参加している企業、会長発のバグレポートが流れる企業がどれだけあるだろうか?
Oracle に吸収されて(同じような気風の企業ではあるが、)こういった気風がそこなわれないかと心配するところではある