本物

西田亙さんの 本物を探せ という記事
コンピュータ書籍界の現状におけるおすすめについては自信をもって言えるほどリサーチしてないので、西田さんの次のエントリに期待するとして、どうでもいいような、でもまぁ多分他人とは違う経験としての自分語りを書こうかと思う
自分が「閾」を乗り越えるのに必要だった本は、次の2冊だった

そういえばどちらもアセンブラではなく「マシン語」を主題にしている
もはやどっちが先だったか忘れたのだが、とにかくこの 2 冊をとっかかりにして覚えたものだった。むろん割込みについて学んだのはもっと後、Computer Fan 誌の TSR プログラムの書き方の記事を読んでからになる
なぜ、この 2 冊だったのかを考えてみる。まず、どちらも、BASIC からのマシン語の使いかたに重点を置いていること。ポケコンは、あの、隠し命令がマニュアル初版の命令一覧にこっそり書いてあった PC-1250(所持機は 1245)で、PEEK POKE CALL に CSAVEM CLOADM だったわけで、そもそも BASIC しかない
マシン語アセンブラ)の入門書ではないうえに、SC61860 こと ESR-H は少々癖が強いので、プログラムを自分で書けるようになったのは 98 よりあとだったような気がする
98 のほうは、そもそも MS-DOS の使い方すらまともに飲み込んでない時代、(当時それは思いつかなかったのだが)MASMパソコンショップで頼んで取り寄せてもらっていても、宝の持ち腐れになっていただろうと思う(そして、他の入門書はまず MASM ありきだった)。この本と、そちらは入手することはなかったが『98マシン語一年生』(ISBN:9784381090584)だけが、当時ふつうに入手できた本で、PC-9801 の BASIC から、MON コマンド経由であれこれ遊ぶ方法をわかりやすく解説していたように思う。著者はあの「新日本プログラミング」(略して新日プロ)の日高さんと青山さんのタッグで、名著と言われる本は他にあるけれど(例えば『マシン語秘伝の書』シリーズ)、「閾」を越えるための本はこれだった
確かに、西田さんの言うように、パタヘネは、この「閾」を越える役に立つ本ではない
西田さんは「オジサンの推薦書」として、パタヘネ(具体名挙げたほうがこういう議論ではいいと思うので書いちゃいますが)と x86 の本を挙げているが、x86 については、手元に実機があるから、という理由があるのではないだろうか
癖があろうとなんだろうと、マシン語の学習には実習ありきだろう、ということは論をまたない(と思われる)。そういう意味で、実機がどこにもある x86 は、やはり特別な地位に、ある、と、思う
保護のある環境下では割込みについて踏み込んだことはできないわけだけど
(まぁ世の中には昔の農工大のように EDSAC を教材にするようなところもあるわけだが)