宇宙暮らしのススメ

宇宙暮らしのススメ

宇宙暮らしのススメ

あの「野田司令」が書いた宇宙の本。という説明だけでわかる人は既に買っているだろうので、この本のユニークなところをかいつまんで説明
サブタイトルに「小惑星移住計画」とあるように、人類が太陽系に広がる先として、既存のビジョンではありがちだった月でも火星でもなく「小惑星」を挙げている。奇をてらったわけではなく、「なんで重力井戸から飛び出して宇宙に出て、またわざわざ重力井戸に降りないかんねん」というコロニー派の主張の通りで、ただコロニーの場合は材料を調達しないといけないわけであるが、地球からコロニーの材料を打ち上げるとか、小惑星帯から持ってくるよりも、小惑星帯を目的地にしてしまったほうが合理的、という判断である
また、小惑星帯を軌道に沿って行き来するだけなら、蒸気機関でも用が足りる、など、今まであまり見なかった指摘もある
そして最後。小惑星帯で何をするのか? という問いに筆者は、外宇宙への足がかりだと述べている。Newtonの1996年10月号で、最後の見開き2つに、反物質ロケットとバサード・ラムジェットによる恒星間航行のイラストとともに述べられていた、あの大テーマである。(なお、反物質ロケットについての詳しい解説は、野田司令がウェブページを開設して真っ先に掲載されている → http://www.koalanet.ne.jp/~anoda/space/mlab01/mlab01.htm
冒頭に掲げられているツィオルコフスキーの「地球は人類のゆりかごである。だが、一生をゆりかごの中で過ごす者はいない。」に同意する者なら誰にも必読の書であろう
半分以上が宇宙の常識(軌道力学とか)の解説にあてられているので、そんなにビビることなくあさりよしとおイラストに引かれて買っても問題ない