クラサバかP2Pか

ちょっと前に話題になった、野口悠紀雄さんと遠藤諭さんの対談記事池田信夫さんが噛みついた件、わけあって最近

IPv6教科書 (インプレス標準教科書シリーズ)

IPv6教科書 (インプレス標準教科書シリーズ)

なんかを読んでいるわけだけど、なんとなくどのへんで話がおかしいのか見えてきた
イーサネットは LAN の規格で、それ自体には C/S かどうかというような性質などない。「ほとんどすべてのLANはイーサネットというC-Sシステムである。」という池田さんの主張はてんからおかしい。遠藤さんのいわんとしているところは、LAN で継げました *だけではなく* その上に C/S という役割分担を決めたアプリケーションを乗っける、という発展形である、ということであって、「単なる」が肝なわけだ
そして後段。インターネットは C/S か P2P か、だけど、これは用語の混乱とか歴史上の事情とかがあって話がややこしくなっていると思う
まず、インターネットが C/S か P2P かという点。これは現実を見てもアプリの数で数えたら圧倒的に C/S だろうと。まあ帯域ではファイル共有の P2P もいいとこいってるかもしれないが
で、TCP/IP。これは用語的に問題がある。なんとなればレイヤが違うプロトコルを並べ立てた語で、同じレイヤのものを並べるなら TCPUDP として IP は単に IP とすべきだからだ
TCP は誰がどう見たって C/S 技術だ。listen するのがサーバ。実際には P2P のアプリケーションも TCP を使うわけだけど、純粋に近い P2P アプリほど TCP を対称的に使うようになる。はずだ
では、IP はどうかというと、これは OSIP2P 的なデザインでは全く無かったのと対照的に、P2P 的にデザインされている。無論、NAT 越しではその対称的なデザインは醜くも崩れてしまうわけだが
ところで、一番笑えることはというと、IPv6 はいらないだとか NAT で十分だとかさんざん吹きまくった池田さんが「インターネット(TCP/IP)は、すべてのホストがサーバなしで同格に接続するend-to-endシステム」と、IPv6 が目指している NAT が無い理想のインターネットのようなことを、ド厚かましくも主張なされていることであろう。いつのまに主旨変えをなさったのであろうか