「オペレーティングシステム」に「(基本ソフト)」と付けるのはやめてほしい、という話

高橋秀俊先生が「ソフトウェア」に「(利用技術)」というカッコ書きを付けるのをやめよ、と書いておられる(『コンピュータへの道』 p. 12、『電子計算機の誕生』 p.219)のを読み直して、改めて思ったわけだが、「オペレーティングシステム(基本ソフト)」と書くのはやめてほしい
「応用ソフトウェア」から派生して作られた語であるのはあきらかだが、コンパイラのようなOS以外のシステムソフトウェア、テキストエディタのようなツール乃至ユーティリティ、どれも基本的なソフトウェアである
オペレーティングシステムはこれらのプログラムと違い、(一般には)そういったプログラムを次々と切り替えて実行する、ディスク装置とのやりとりを仲介する、といった特別の仕事をおこなう特別のプログラムであり、特異な技術を必要とするものである、という観点がスッポ抜けてしまう
「わかったようなつもりにさせる」のがマスコミの仕事だ、という反論があるかもしれないが、それは正しい理解につながるようにつもりにさせる、のが仕事であり、結局のところ無理解や誤解につながるようなものでは無意味なだけでなく有害である
現代の目から見れば「(利用技術)」が滑稽であることはどなたにもお分かりであろう。この1970年代の無理解が、日本のソフトウェアにおける今日のビハインドの遠因のひとつではなかろうかと思う
この件に限らない話だが、「専門家が首をかしげる記述」を堂々とまかり通らせるマスコミは、たとえば科学振興を口では唱えながら、実際のところどれだけそれを妨げているか、自覚してほしい